繁忙期を逃した空室を決めるために絶対やるべきこと
キャンペーンに頼りきり?
オーナーさんの期待する繁忙期も、もう終わってしまいました。
残念ながら、この異動シーズンに空室が埋まらなかったオーナーさんの空室はこれから少ないお客さんの中で選ばれる物件に生まれ変わらせなければ、ずーーっと空いたままになってしまいます。
今、鹿児島市では、この閑散期に空室を埋めるために管理会社が様々なキャンペーンを行っています。
○家賃の半月分で入居できちゃいますキャンペーン
○ハッピー5キャンペーン
○初期費用、家賃1ヶ月分キャンペーン などなど
いづれも大手管理会社さんのキャンペーン企画で、TVCMで大々的に告知しています。『引っ越したいけど、先立つお金がない』って方には、とっても魅力的ですね。
これらのキャンペーンのように初期費用を安くするのも、募集の間口を広げる上では一定の効果はありますが、オーナーさんの立場からすると、物件が決まらなかった本質的な原因を知ることのほうが重要なんです。
なぜなら、これからも退去は発生しますから、決まらなかった原因が分からなければ、これからも同じことの繰り返しになってしまうからです。更に、物件は年々古くなるし、新しい物件もどんどん供給されていきます。
なので、本質的な原因を知らずしてキャンペーンに頼っては根本的な解決にはなりません。
空室が決まらなかった本当の理由を探る
空室が決まらなかったのには、必ず原因があります。
〇家賃が高かったから?
〇ちゃんと不動産会社が紹介していなかったから?
〇部屋を気に入ってもらえなかったから?
〇近隣の競合物件に負けたから?
色々、考えられますが、原因が分からないと対策も立てられません。本当の理由を知る為には、現場の賃貸仲介店舗で営業マンの話を聞きましょう!繁忙期、たくさんのお客さんのお手伝いをした営業マンにこんな質問をしてください。
A:インターネットからの問い合わせ(メールや電話)は何件ありましたか?
B:案内件数はどのくらいありましたか?
C:一緒に案内して、決まったほうの物件資料はありますか?
1人の営業マンだけでは偏りが出ますので、できるだけ事前に上記の質問事項を担当者に伝え、店舗全体の情報をもらうようにしましょう!
質問への答えから、空室が決まらなかった本当の理由が分かります。
ファネルって何だ?
上の図は、セールスファネル(ファネルマーケティング)と言います。
ファネルとは、日本語で漏斗(じょうご)のことです。らっぱのような形をした口が広く先が細くなっている液体を流すのに使う用具のことです。小学生のとき、理科室で使った覚えがあるような、ないような?
マーケティングの中では、
広く集客したうえで、ふるいにかけられた見込み顧客が、検討・商談、そして成約へ流れる中で段々と少数になっていく概念のこと言います。その様を図にすると、漏斗で濾した様子に似ているところからそう呼ばれています。
よく「衝動買いしちゃった。」といいますが、そういう人でも、一瞬(短期間)でこのプロセスを通っています。ファネルマーケティングでは、ある段階から次の段階へ移るには必ず壁があって、その壁いかに低くしてスムーズに移ってもらえるかを考えます。
この図では、最初は6人のお客さんが興味を持ってくれたけど、『納得』したのは3人、『購入』したのは1人ということを表しています。
このように、オーナーさんの部屋も、段階的にお客さんの数が絞られていって最終的に1人のお客さんに借りてもらえるようになるんです。
なので、空室が決まらなかったということは、『購入』が0だったわけですからどの段階までお客さんが存在していたのかを見極める必要があります。そして、その壁は何だったのかを知り、その壁を低くしてあげる必要があります。
そもそも、最初の『興味喚起』の段階で0人だったら、何年待っても借りてくれる人は現れませんよね?
上の図を賃貸仲介に流れに合わせるとこんな感じになります。
1.興味喚起 = 物件へのお問合せ
2.理解 = 店舗への来店
3.納得 = 物件への案内
4.判断 = 他の競合物件との比較
5.購入 = 入居申込
これを、さきほどの仲介店舗の営業マンへの質問に当てはめてみましょう。
A:インターネットからの問い合わせ = 1.興味喚起
B:案内件数 = 3.納得
C:成約した他の物件の資料 = 4.判断
1.『興味喚起』(問い合わせ)の段階
もし、インターネットからの問い合わせが0件だったら、そもそも相場賃料と合っていない可能性が大です。ネット上で興味を持ってくれるお客さんがいなかった訳ですから。営業マンと相談して、家賃や敷金などの募集条件を見直しましょう!
2.『納得』(案内)の段階
もし、案内があったのに決まっていなかった場合、特に5件以上案内があった場合は、お部屋自体に問題がある可能性が大です。
なぜかというと、賃貸不動産仲介ではおおよその平均値ですが、案内申込率は20%と言われています。
なので5件案内があるのに決まっていないということは、お客さんが物件自体には興味をもってくれているけど、部屋をみて気に入ってもらえていないということ。
つまり条件面が問題なのではなく、部屋に問題があると考えてよいのです。
そもそも、お部屋は綺麗になっていますか?特に水周りは大事です。
または、もう一工夫、お客さんが喜びそうな設備を付けてありますか?例えば、ウォシュレットや吊り戸棚・室内物干し・・・2~3万円の予算でもできることはたくさんあります。
3.『判断』(競合比較)の段階
オーナーさんの空部屋と一緒に案内されて、成約した他の物件の情報ほど重要なものはありません。あと一息のところまで来ていたわけですから、どこを比較されて成約に至らなかったのかを営業マンにじっくり聞いてください。
まとめ
このように、ファネルマーケティングというお客さんの購買プロセスを理解すると、案内があったのに、家賃を下げるのは効果的とは言えませんし、相場に合わない賃料なのに、いくらリフォームしても決まるとは言えません。
どの段階にどういう壁があるのか、それを見極めた上で、空室対策を行うことが成約への近道です。
関連した記事を読む
- 2023/10/27
- 2023/10/27
- 2023/07/28
- 2023/06/05
会社概要
賃貸経営管理 記事一覧
-
商品が売れないのは商品のせい?
あなたは、「スミノフウォッカ」というお酒を知っていますか?ウォッカベースのカクテルでは、モスコミュールが有名ですね。このお酒がはじめてアメリカで販売されるようになったときの話。この商品の販売の為に、膨大な費用…- マーケティング
- 空室対策
- 賃貸経営
- 入居者様の声
2023/10/27New! -
『黄色い像』を想像しないでください。
このタイトルを見て、あなたはどんな像を想像しましたか?きっと、黄色い像を想像してしまったのでは。昔、読んだ潜在意識に関する本の中に、確かこんな質問があったのを思い出しました。人の潜在意識は「否定形」の言葉は受…- リノベーション
- 空室対策
- マーケティング
- 賃貸経営
2023/10/27New! -
二人の管理担当者の違いは何?
とある賃貸管理会社に2人の管理営業マンがいました。かれらの仕事は、管理をしているマンションのオーナーの窓口となって、家賃の回収や入居者の対応、様々な修繕工事の手配、空室の募集活動などなど多岐にわたって、オーナ…- 賃貸管理
- 賃貸経営
- CPM
2023/07/28New! -
賃貸経営で絶対に知っておきたい重要な指標とは?
こんな時、あなたならどうしますか?あなたは賃貸マンションを1棟所有しています。全戸ワンルーム、総戸数20戸でオートロック付き、鹿児島市電からも近いので人気もあって、単身社会人の方が多く入居してくれています。経営…- 賃貸管理
- 空室対策
- 賃貸経営
- 仕事観
- CPM
2023/06/05New! -
絶対に知っておきたい不動産投資の重要な考え方
とある二人の不動産投資家が、同じ時期にそれぞれ賃貸マンションを購入しました。二人が購入した賃貸マンションはとても良く似ていました。どちらも同じエリアに建つ1Kタイプの単身者向け、総戸数20戸の賃貸マンションです…- 空室対策
- 不動産投資
- CPM
- 賃貸経営
2022/04/07New! -
空室対策に有効な「差別化戦略」の考え方
突然ですが、質問です。あなたの自宅から50メートルと1キロメートル先ににセブンイレブンが2店舗あります。あなたはどちらのセブンイレブンに行きますか?- マーケティング
- 空室対策
- 賃貸経営
- リノベーション
2020/07/21New! -
あなたの商品(物件)の顧客は誰ですか?
「田中さんの想定通りの入居者さんでしたね!」先日、満室となった物件のオーナーへ運営報告書を提出した時のこと。この言葉は、僕にとっては最高の賛辞でした。- マーケティング
- 空室対策
- リノベーション
2019/03/26New! -
賃貸の解約率と入居者満足度の関係
「頑張って部屋は埋めてくれるけど、同じくらい退去があって空室が減らずに困っている。」それが、オーナーの悩みでした。これは、初めてオーナーさんとお会いしたときに、最初に言われた言葉。僕のビジネスパートナーから…- 賃貸経営
- リノベーション
- マーケティング
2018/01/13New! -
プロパティマネジメントを実践する為に最も重要なもの
少しずつですが、賃貸経営管理(プロパティマネジメント)という考え方に共感してもらえるオーナーに賃貸経営を任せていただける機会が増えました。プロパティマネジメントは、賃貸不動産の収益を最大化させることが使命の事…- 賃貸管理
- 仕事観
- 賃貸経営
2018/01/08New! -
賃貸オーナー必見!最新の部屋探しの実態とは?
とあるオーナーさんから、「空室が長いこと埋まらなくて困っている」との相談をいただきました。物件を確認する為に、ネットで物件を調べてみると、ポータルサイトを探しても出てきません。そして、時間を掛けて色々探して…- お部屋探し
- 賃貸仲介
- マーケティング
2017/09/23New!