賃貸経営で絶対に知っておきたい重要な指標とは?
こんな時、あなたならどうしますか?
あなたは賃貸マンションを1棟所有しています。
全戸ワンルーム、総戸数20戸でオートロック付き、鹿児島市電からも近いので人気もあって、単身社会人の方が多く入居してくれています。
経営状況は、毎年5戸程の退去があるものの、3ヶ月もすれば次の入居者決まっているので、本人的にはまずまずなんじゃないかと思っています。
そして、異動シーズンを終えた今、4月末に退去した空室1部屋を募集しています。
築10年を経過したものの、まだ物件は綺麗に保たれているので、家賃は前回と同じ5万円のまま。
その部屋に家賃を1,000円下げてくれるなら借りたいというオファーがありました。既に空室になってから1ヵ月ほど経過しています。
今、あなたには2つの選択肢があります。
A.オファーを断って家賃5万円で契約してくれるお客様を待つ。
B.値引きを受け入れて、4.9万円で契約する。
異動シーズンを逃してしまったので、早く次の入居者を入れたい気持ちもありますが、もう少し待てば、5万円で借りてくれる別の入居者が現れるのではないか?という考えも頭をよぎります。今までは3ヶ月もすれば次の入居者が決まっていたのですから。。
とっても悩ましいですね。
未来のことなんて誰も分かりませんので、そもそも答え自体がないような気もします。
でも実は、この問いに対して、明確な答えを出してくれる賃貸経営上の指標があるんです。
それは、『解約率』・『平均空室期間』・『平均入居期間』の3つです。
しかもこの3つの指標は、計算式を知ってさえいれば簡単に導き出すことができる指標です。
そして、それを知っているだけであなたはこの問いにたった1分で答えが出せるようになります。1分でこの悩ましい問いに答られるなんて、この指標の出し方知りたいですよね。
それでは、1つずつ分かりやすく解説していきます。
解約率とは何か?
解約率とは1年間でどのくらい解約(退去)が発生するかという指標です。
オーナー側としては、ずっと入居していて欲しいですが、賃貸の入居者さんには、
「卒業」「就職」「転職」「転勤」「結婚」等
人生の転機と共に、引っ越しはつきもの。
必ず「解約」は訪れます。その解約が発生する確率を表すものが「解約率」です。
一番簡単に計算できる指標なのですが、この解約率を把握していないと、平均居住期間や空室率は出せませんので、賃貸マンション経営上、ベースになる指標といえます。
解約率 = 1年間の解約戸数 / 総戸数 ×100
あなたの賃貸マンションは、20戸で年間5戸程度の解約がありましたね?
なので解約率は、
5戸/20戸×100=解約率25%となります。
シングルタイプでおおむね25%~30%ファミリータイプで15%~20%くらいが平均的な解約率と言われています。
平均空室期間って?
次に、平均空室期間は、とても大切な指標です。
例えば、4部屋が空いて、それぞれ2ヶ月・2ヶ月・3ヶ月・5ヶ月の空室期間があった
とすると、
(2+2+3+5)=12ヶ月/4戸=3ヶ月
平均3ヶ月の空室期間があったことになります。
過去1年間の空室期間(月数)を全て足して、解約数で割るだけですので簡単です。
あなたの賃貸マンションは、概ね3カ月で次の入居者が決まるとのことでしたので、上記の計算は省いて、平均空室期間を3カ月とします。
ちなみに、この平均空室期間が分かると空室率を導き出すことが出来ます。
公式は以下の通り、
「解約率」×「平均空室期間」=「空室率」
例えば、解約率が20%で平均空室期間が3カ月のマンションの空室率は、
20%×3ヶ月/12ヶ月(25%)=5%となります。
平均居住期間はどうやって出す?
平均居住期間は、「解約率」と「平均空室期間」を元に計算することが出来ます。
「自分の賃貸マンションに一体どのくらい住んでくれているのか?」ということなので、あなたも気になる指標だと思います。
その計算式は、
平均居住期間(月数) =(100%÷解約率×12ヶ月)-平均空室月数
で導き出せます。
あなたの賃貸マンションではどうなるかというと、
(100%÷25%×12ヶ月)-3ヶ月=45ヶ月 です。
おおよそ3年9ヶ月の入居期間ということになります。
家賃1000円は下げても良い?!
これで全ての指標の計算方法がわかりました。
「平均空室期間」と「平均居住期間」の2つが分かれば、最初のオファーに対する答えは出ます。それでは、実際に当てはめてみましょう。
A.オファーを断って家賃5万円で契約してくれるお客様を待つ場合
家賃5万円×平均居住期間45ヶ月=225万円(将来受け取れる家賃)
となります。
B.値引きを受け入れて、4.9万円で契約する場合
①家賃4.9万円×平均居住期間45ヶ月=220.5万円(将来受け取れる家賃)
これだけの比較だと、当然Aが高いですが、Bを選択すると早く家賃を受け取れます。
②平均空室期間3ヶ月ー現状空室期間1ヶ月=2ヶ月の空室損回避
なので、家賃4.9万円×2ヶ月=9.8万円と多く家賃を受け取ることができます。
ですので、Bは①+②=230.3万円となります。
B230.3万円ーA220.5万円=差額9.8万円
このように、将来Aで受け取れる総家賃と将来Bで受け取れる総家賃を比較することで、1,000円下げても2ヶ月はやく決まったほうが9.8万円も得をするということが数字で把握できます。
つまり、Bが正解です。
この指標を掴んでいれば、たった1分足らずの計算で、目の前の入居者さんを手にするかどうかの判断が出来るんです。
未来のことなど誰にもわかりません。ひょっとしたら、契約したお客さんが2年で退去するかもしれませんし、10年住んでくれるかもしれません。
でも、過去のことをしっかり数値化すれば、このようにある程度予測が可能になります。
『予測できる=安心できる』ということです。
まずは、去年1年間で良いので、まずはあなたの物件でこの3つの指標を取ってみてはいかがですか?
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