空室対策に有効な「差別化戦略」の考え方
突然ですが、質問です。
あなたの自宅から50メートルと1キロメートル先ににセブンイレブンが2店舗あります。
あなたはどちらのセブンイレブンに行きますか?
商品特性と商圏の関係
答えはもちろん、50m先のセブンイレブンですよね。
なぜなら、それは。。。。。「近いから」
当たり前です。ではなぜあなたは、近いほうに行くのですか?
それは、50m先のセブンイレブンも1km先のセブンイレブンにも置いてある商品が同じだからですよね?
商品が同じであれば、より近いところに行くのが当然です。
1km先のセブンのコーヒーの香りが他とは違っていい。。なんてことはありませんから。
それでは、もう一つ質問にお付き合いください。
あなたの子供がある重い病気にかかってしまいました。
あちこち子供の病気を治せる病院を探しましたが、その病気を治せる病院はなかなか見つかりません。
そんな中、北海道に唯一病気を治せる病院があることを知りました。
あなたは、北海道の病院へ子供を連れていきますか?
当然、北海道だろうが海外だろうが、子供の病気が治るなら連れていきますよね。
この2つの極端な質問が意味するところ、それは「商品特性」と「商圏」の関係を表しています。
コンビニの商圏はせいぜい半径500m。
一方、北海道の病院の商圏は、日本全国です。
その病気を治してもらう為に、日本全国から患者さんがやってきます。
商圏がこれだけ異なるのは「商品特性」の違いです。
つまり、どこにでもある商品は商圏が狭くなり、ここにしかない商品は商圏が広くなるのです。
賃貸不動産の商圏を広げるには?
鹿児島市も空室率20%と言われる時代に突入しました。
5戸に1戸は空いているのですから、きっとあなた物件の近所の賃貸マンションにも空室があるはずです。
あなたの空室とライバル物件にはどこに違いがありますか?
もし大きな差がないのであれば、どんどん商圏は狭くなります。
ピンポイントにあなたの物件のある地域を求めている人にしか借りてもらえないかもしれません。
また、近所のライバル物件と比べてより安い家賃でなければ決めてもらえないかもしれません。
一方、あなたの物件が鹿児島市の中でここにしかないような特徴のある物件だったとしたら?
・ここにしかない設備
・ここにしかないサービス
・ここにしかない間取り
・ここにしかないデザイン
『ここにしかない』ものを持っている物件なら、商圏が広がります。
例えば、ほとんどの賃貸マンションは、ピアノなどの「楽器の演奏」は禁止されています。
それが、防音対策が施された「演奏し放題」マンションだったらどうでしょう。
エリアが希望地域ではなかったとしても、どうしても自宅で楽器の演奏がしたい、必要な方にとっては他にはない自分の望みを叶えてくれる唯一の物件となるわけです。
家賃だって、比較するものがない訳ですから相場より高く貸せるでしょう。
上の写真は、築20年の病院の寮を当社がリノベーションした高麗町にある物件の事例です。
「どこにでもあるワンルーム」を当社でリノベーションし「ここにしかないデザイン性の高いキッチンのあるワンルーム」に変えました。
すると、本来なら荒田エリアに部屋を借りるはずだった鹿児島大学の学生が、このデザインに惚れ込んで入居するというようなことが起きます。
これが、商圏が広がるということです。
不動産は、文字通り「動かせない資産」です。
商品が動かせないのですから、人を惹きつけるしかありません。
あなたの空き部屋には、人を惹きつける「ここにしかないもの」がありますか?
これをマーケティング用語でUSPと言います。ユニーク・セールス・プロポジション=他にはない独自の売りという意味です。
この物件のUSPは何なのか?
一度、この視点で俯瞰して物件を見つめ直してみることをお勧めします。