前回の記事では、家賃の回収に必要なマインドセットについてお伝えしました。
記事はこちら
https://twinb.co.jp/page/%20PropertyManagement/76
今日は、滞納督促テクニック『支払督促』について、お伝えします。
実務的なテクニックのご紹介です。
意外と簡単!簡易裁判所での支払督促
この『支払督促』とは、簡易裁判所で手続きをするものです。
電話をしても、訪問しても、内容証明書を送付してもリアクションのない不誠実な滞納者に対して行うものです。
手続きの流れは、意外と簡単で、相手方(滞納者)の住所地を管轄する簡易裁判所で行います。
鹿児島市内の物件であれば、鹿児島地方裁判所(山下町)です。
僕も初めて行った時は、緊張して挙動不審になりましたが、一度経験すればすぐに慣れますので心配いりません。
まず、「支払督促申立書」を作成します。難しそうですが、裁判所に記入例なども置いてあって、係りの方が書き方なども優しく指導してくれます。
この支払督促のメリットは
〇賃料の滞納や損害賠償、敷金返還請求など幅広く活用できる。
〇いちいち内容証明などで事前に請求しなくても、直ぐこの手続きに入れる。
〇証拠を集めたり提出する必要がなく、「申立書」のみで受け付けてくれる。
〇審査が迅速に行われ、速やかに相手方に送達される。
このように、比較的簡単で更に滞納者への通知は裁判所からとなりますので、かなり強力なプレッシャーとなります。
人生で裁判所からお手紙が届く機会なんてそうそうないですもんね。
手続きの流れは、
1.支払督促申立書を提出すると、審査を経て、相手方(滞納者)に「支払督促」が送達されます。
2.それに対し、相手方が2週間以内に異議申し立てをしなれければ、次は「仮執行宣言」の申立を行います。(30日以内)
3.そして、再度裁判所から相手方へ「仮執行宣言付支払督促」が相手方に送達されて、これにも2週間以内に意義申立をしなければ、
「債務名義」が取得できるという2段構えになっています。
2.3の後に、滞納者から「異議申し立て」があれば、お互い裁判所に出向き一回だけ話し合いが持たれます。
異議とは言っても、分割払いの相談がほとんどです。滞納者は何もしなければ、強制執行(後述)されてしまうので、何かしらのリアクションがあるはずです。
手続きの流れを見て??マークが頭の中で出るかもしれませんが、最初の「申立書」さえ出してしまえば、あとは裁判所の方の言うとおりに進めて行くだけなので簡単ですよ。
「債務名義」の取得は、裁判に勝ったのと同等
「債務名義」とは
債務名義は、裁判の確定判決と同じ効力を持つので、裁判で勝ったのと同じ状態となり覆すことができません。
そして、相手方に対して「動産に対する強制執行」、「債権執行」を行うことができます。
つまり、相手方のあらゆる財産(動産、不動産、預金、債権、給与等)に対して強制執行(=差し押さえ)をすることが可能になります。
この簡易裁判所への手続きは、オーナー自らでなくとも管理会社が代行で行うことができます。
ただし、地方裁判所管轄の「明け渡し請求訴訟」は管理会社は代理することができません。
弁護士の守備範囲となるからです。
なので、支払督促は管理会社で行うことができる有効な滞納督促のテクニックとなりますので、ぜひ活用してください。
まるで、詰め将棋のように、滞納者が逃げても逃げてもいづれは、この債務名義の取得までたどりつくことになります。
ひどい言い方のようですが、大家さんは、家賃の回収ができるまで家賃の滞納は「売掛金」です。
お金が入ってこないのに税金ばかり増えていきます。自力救済は法律で禁止されていますが、支払督促は公的に認められた手続きです。
先延ばしして滞納が膨らんで、回収不能となる前に行うことが肝要です。
どんなに、逃げ回っている滞納者でも裁判所からの通知がくれば、交渉のテーブルに出てこざるを得ませんので。
このような法的手続きをスピーディに行うことが、賃貸経営上重要なスキルとなります。
また、管理会社を選ぶ上でも、この「支払督促」スキルを持っているか否かは重要な判断材料になります。
ぜひ、覚えておいてくださいね。