賃貸経営で絶対に知っておきたい重要な指標とは?

僕は、野球が大好きです。
独立前に勤めていた会社でも、社内の野球好きを集めてソフトボール部を立ち上げた程。
野球の醍醐味は、団体競技なのに必ず投手対打者という1対1の勝負があるところで、全員がヒーローになれるチャンスがあるところでしょうか?
そして、その勝負が全て数字で表れます!
打率・打点・本塁打・犠打・盗塁、、、
あなたも野球は知らなくても「トリプルスリー」という言葉は知っているかもしれません。
ヤクルトの山田哲人とソフトバンクの柳田悠岐の2人が昨シーズン達成したことで流行語にもなりましたね。
ところで、賃貸マンション経営でも、野球の成績のようにマンションの状況の良し悪しを判断する指標があるのをご存知ですか?
とりわけ、大事な指標は『解約率』と『平均空室期間』と『平均居住期間』です。
経営に必要な予実管理をする上ではこの指標がないと、そもそも予算自体が作れません。予算がなければ、地図を持たずに旅に出るようなものなので、とーーっても大切な指標なんです。
解約率って?
解約率は、1年間でどのくらい解約(退去)が発生するかという指標です。
一番簡単に計算できる指標なのですが、この解約率を把握していないと、平均居住期間や空室率は出せませんので、賃貸マンション経営上、一番ベースになる指標といえます。
解約率 = 1年間の解約戸数 / 総戸数
例えば、20戸の賃貸マンションで4戸の解約があったとすると、
4戸/20戸=解約率20%
となります。
シングルタイプでおおむね20%~30%
ファミリータイプで15%~25%くらいが平均値です。
この解約率を毎年取って、時系列で見ていくと色々と傾向がよくわかります。
予算を作る場合は、過去5年間の解約率をベースに来年の解約件数を予測すると大幅にぶれることがなくります。
また、解約率が年々増加しているとしたら、いわゆる『顧客満足度』が下がっていることが予測できます。
それじゃあ、入居者向けサービスを検討しようか?という判断もできますよね?
平均空室期間って?
平均空室期間は、とても大切な指標なのですが、意外と部屋が決まってしまえば「あー良かった、良かった。」で終わらせていませんか?年度の終わりには、必ず今年決まった部屋が何ヶ月空いていたのか、調べておくことをお勧めします。
例えば、4部屋が空いて、それぞれ2ヶ月・2ヶ月・3ヶ月・5ヶ月の空室期間があったとすると、
(2+2+3+5)ヶ月/4戸=3ヶ月
平均3ヶ月の空室期間があったことになります。
平均居住期間はどうやって出す?
平均居住期間は、解約率と平均空室期間をもとに計算することが出来ます。「自分の賃貸マンションに一体どのくらい住んでくれているのか?」ということなので、あなたも気になる指標だと思います。
その計算式は、
平均居住月数 =(100%÷解約率×12ヶ月)-平均空室月数
で導き出せます。
上の例ではどうなるかというと、
(100%÷20%×12ヶ月)-3ヶ月=57ヶ月 です。
おおよそ4年7ヶ月の入居期間ということになります。意外と長く感じませんか?感覚的には3年あるかないかじゃないでしょうか?
3つの指標は何に役立つ?
このような指標を持っていると、大いに経営判断をする場面で役立ちます。
たとえば、5万円で募集していた賃貸マンションに解約後1ヶ月で家賃を1,000円下げてくれたら入居したいというお客さんが現れたとします。
平均空室期間と平均居住期間の2つの指標を持っていると、こんな計算ができて、冷静に判断が出来るようになります。
平均空室期間3ヶ月-現状空室期間1ヶ月=2ヶ月間の空室損回避です。
金額にすると
14.7万円-4.9万円=9.8万円の得
平均居住月数は、57ヶ月なので
4.9万円×57ヶ月=279.3万円
空室損回避と総賃料の合計は、9.8万円+279.3万円=289.1万円となります。
一方、5万円で3ヵ月後に成約した場合は、5万円×57ヶ月=285万円となり、
1,000円下げても2ヶ月はやく決まったほうが4.1万円得ということが数字で把握できます。
この指標を掴んでいれば、たった3分足らずの計算で、目の前の入居者さんを手にするかどうかの判断が出来るんです。
現場の感覚ですが、オーナーさんの心理としては、退去して1ヶ月で家賃の値下げの相談があると、「まだ退去して1ヶ月だし、5万円で借りてくれるお客さんがまだ現れるんじゃないか?」
って思いますよね?
もちろん、未来のことなど誰にもわかりません。でも、過去のことをしっかり数値化すれば、ある程度予測が可能になります。
『予測できる=安心できる』ということです。
野球でも3割30本塁打の成績を残すような打者だから、監督は安心して四番を任せるのですよね?
去年1年間で良いので、まずはあなたの物件でこの3つの指標を取ってみてはいかがですか?
関連した記事を読む
- 2022/04/07
- 2020/07/21
- 2019/03/26
- 2018/01/13
賃貸経営管理 記事一覧
-
絶対に知っておきたい不動産投資の重要な考え方
とある二人の不動産投資家が、同じ時期にそれぞれ賃貸マンションを購入しました。二人が購入した賃貸マンションはとても良く似ていました。どちらも同じエリアに建つ1Kタイプの単身者向け、総戸数20戸の賃貸マンションです…- 空室対策
- 不動産投資
- CPM
- 賃貸経営
2022/04/07New! -
空室対策に有効な「差別化戦略」の考え方
突然ですが、質問です。あなたの自宅から50メートルと1キロメートル先ににセブンイレブンが2店舗あります。あなたはどちらのセブンイレブンに行きますか?- マーケティング
- 空室対策
- 賃貸経営
- リノベーション
2020/07/21New! -
あなたの商品(物件)の顧客は誰ですか?
「田中さんの想定通りの入居者さんでしたね!」先日、満室となった物件のオーナーへ運営報告書を提出した時のこと。この言葉は、僕にとっては最高の賛辞でした。- マーケティング
- 空室対策
- リノベーション
2019/03/26New! -
賃貸の解約率と入居者満足度の関係
「頑張って部屋は埋めてくれるけど、同じくらい退去があって空室が減らずに困っている。」それが、オーナーの悩みでした。これは、初めてオーナーさんとお会いしたときに、最初に言われた言葉。僕のビジネスパートナーから…- 賃貸経営
- リノベーション
- マーケティング
2018/01/13New! -
プロパティマネジメントを実践する為に最も重要なもの
賃貸経営管理(プロパティマネジメント)を専門とする事業をスタートして1年。少しずつですが、このプロパティマネジメントという考え方に共感してもらえるオーナーに賃貸経営を任せていただける機会が増えました。プロパティ…- 賃貸管理
- 仕事観
- 賃貸経営
2018/01/08New! -
賃貸オーナー必見!最新の部屋探しの実態とは?
とあるオーナーさんから、「空室が長いこと埋まらなくて困っている」との相談をいただきました。物件を確認する為に、ネットで物件を調べてみると、ポータルサイトを探しても出てきません。そして、時間を掛けて色々探して…- お部屋探し
- 賃貸仲介
- マーケティング
2017/09/23New! -
賃貸経営におけるリフォームの目的とは?
賃貸事業は家賃収入によって物件の価値が決まります。建物は年々古くなっていきますので、それに歯止めを掛ける復旧工事は必ず必要ですし、場合によっては価値を上げるバリューアップ工事を行うことも長期的な経営視点では…- 賃貸管理
- 賃貸経営
- 空室対策
2017/09/09New! -
鹿児島市の賃貸市場で今起こっていることとは?
建築中の新築マンションの打ち合わせの時のこと。現場所長さんからこんな言葉が、「いやー。型枠業者が掴まらなくて困ってるんですよ。」型枠とは、鉄筋コンクリートの建物を作るための器となるもの。構造上、最も大事なコ…- マーケティング
- 賃貸業界情報
- 賃貸経営
2017/09/07New! -
共働きが当たり前の時代到来?!
お笑い芸人の西野亮廣さんが、自作の絵本を大ヒットさせているのをご存知ですか?既に絵本業界では異例とも言える30万部を突破しています。このマーケティング手法には、賃貸業界も学ぶべきことが多いのでは?- マーケティング
- 賃貸経営
- 空室対策
2017/08/23New! -
管理を委託してくれた理由とは?
7月より新たに管理を受託しました。谷山中央にある3LDKのファミリータイプの賃貸マンションです。18室すべて入居中という満室状態。現状空室に困っているわけでもないのですが、複数の管理会社さんからの提案の中から当社を…- 賃貸管理
- 仕事観
- 賃貸経営
2017/07/05New!