今日は、あなたの一番の関心毎の入居率について書いてみたいと思います。
入居率(稼働率)は3つある
不動産賃貸管理会社のHPを見ると、『当社の管理物件の入居率98%!』とかって、書いてあるのをよく見かけますね。
鹿児島市の現在の賃貸用住宅の空室率は16.5%
(情報元:ホームズ 不動産投資)
このような市場環境の中、入居率98%なんて数字をちょうど、自分の賃貸マンションの空き部屋が決まらず、悶悶としているあなたが見たら、
「98パーセントはすごいなあ!何か特別な手法を持ってるんじゃないか?自分の物件も管理を頼めば、入居率を改善してくれるんじゃないか?」
って、思うかもしれませんね。
でも、ちょっと待ってください!
そもそも、入居率(稼働率)には3種類あるって知っていますか?
①時点ベースの入居率
時点ってなっている通り、「ある時点ベース」での入居率です。
ある瞬間の入居率のことを表しています。
単純に1000戸管理していて、その内の50戸が空室でした。
<時点ベースの入居率の計算式>
入居戸数÷管理戸数=入居率
なので、この場合は
(1000戸-50戸)÷1000戸=入居率 95%となります。
この計算式だと、当たり前ですが、入居率は毎日変動します。
これが、皆さんがよく目にする入居率です。
毎日変動するものなので、実はあまり管理会社の力量を測る数値にはなりません。
なぜなら、
ほとんどの管理会社が、一番良かった時点での入居率を公表しますから。
ゴルフで言うところのベストスコアだったり、
台風で言うところの最大瞬間風速であったり、
株で言うところの、年初来高値であったり、
僕の好きな野球で言うところの、月間MVPみたいな。
(かえって分かりにくい?)
そういう数値です。
なので、12/1は、85パーセントだったけど、3月になって異動シーズンがきて、3/31には95パーセントに瞬間的になったりする訳です。
②稼動ベースの入居率
これは、年間を通しての入居率を表します。
例えば、10戸のマンションがあったら、12ヶ月×10戸=120
で、全部で120のマスになりますね。
ある年は、2戸解約があって、空室期間がそれぞれ3ヶ月と6ヶ月だったとすると、空室期間の合計は9ヶ月です。
図で表すと、こんな感じです。
そうすると、120マスの内、9マスが空きなので、計算方法はこうなります。
<稼動ベースの入居率>(月単位)
(全戸数×12ヶ月-総空室月数)÷(全戸数×12ヶ月)=入居率
(120-9)÷120=入居率 92.5%
この計算式だと、オーナーさんの賃貸マンションがどれだけ働いてくれたか、本当の実働が分かります。
③想定賃料ベースの入居率
これは、②稼動ベースを賃料で見たときの入居率です。
先ほどの10戸の賃貸マンションが、9戸は1Kで家賃は全て50,000円、1戸がテナントで、200,000円だったとします。
この物件の満室時の年間賃料は、
50,000円×9戸×12ヶ月=5,400,000円
200,000円×1戸×12ヶ月=2,400,000円
合計で年間7,800,000円がMAXです。これを総潜在賃料と言います。
空室が1Kが1戸とテナントが空いていたとします。
同じように、1Kは3ヶ月で決まった。テナントは6ヶ月で決まった。
とすると、
50,000円×3ヶ月=150,000円
200,000円×6ヶ月=1,200,000円
合計で1,350,000円の空室損料が発生したことになりますね。
<賃料ベースの入居率>
(総潜在賃料-総空室損料)÷総潜在賃料=入居率
そうすると、
(7,800,000円-1,350,000円)÷7,800,000円=入居率82.7%
何をベースに入居率を計算するかで、同じ全く違った結果になることがお分かりいただけたと思います。
本当に重要な入居率はどれ?
どうですか?
あなたにとって、本当に重要な入居率は、①じゃなくて②③のほうではないですか?
もちろん、日々の全体の変動を掌握する意味では、時点ベースの入居率は管理会社にとっては大事な指標です。
ただ、オーナーさんにとっては、自分の物件が実働としてどのくらい稼動していたか?を知ることのほうが、とーーーっても重要です。
この入居率が3つあるということは、意外と管理会社さんも知りません。でも、賃貸マンション事業を経営管理する意識があるなら、この稼動ベース・賃料ベースの入居率を知ることは不可欠です。
こういう考え方をプロパティマネジメントといいます。そういう管理会社さんが増えれば、管理会社の実力を測る指標ができるのにと思います。