日銀の利上げと賃貸経営への影響 – 管理会社としてできること
この記事を書くきっかけは、先日オーナーの山村様(仮称)の事務所を訪れた際の会話でした。
山村様:「金利が上がるのよ。これからの返済が心配でね。」
私:「確かに、日銀が利上げを発表しましたから、変動金利で借入をしているオーナ様には影響が出ますね。」
山村様:「毎月の返済額が増えるのは痛いわね。賃貸経営の収益にどれくらい影響するのかしら?」
私:「例えば、1億円を金利1.5%で借入している場合、金利が0.5%上昇すると、年間で約279,600円の負担増になります。 20戸のマンションなら、1戸あたり年間約13,920円、戸あたり1,165円/月の負担増ですね。」
山村様:「それをどうカバーしていけばいいのか…何か対策はあるかしら?」
このやり取りから、賃貸経営における利上げの影響と、管理会社としてできることを改めて考える機会となりました。
2025年1月、日本銀行が政策金利の引き上げを発表しました。これにより、変動金利で借入をしているあなたにとって、今後の返済額の増加が懸念されます。
今回は、利上げが賃貸経営に与える影響と、管理会社として私たちがあなたのためにできるサポートについてお伝えします。
1. 利上げによる賃貸経営への影響
金利が上昇すると、あなたにとって以下のような影響が考えられます。
● 毎月のローン返済額の増加
変動金利のローンを利用している場合、半年ごとに金利が0.25%ずつ上昇すると、年間で0.5%の上昇となります。
例えば、1億円を金利1.5%、20年で借入している場合、金利が0.5%上昇すると毎月の返済額は約23,300円増加します。
年間ではなんと約279,600円の負担増となります。
20戸のマンションの場合、1戸あたりの負担は月1,165円、年間で13,980円/戸となります。
● キャッシュフローの悪化
賃貸経営では、家賃収入からローン返済や維持費を差し引いた「キャッシュフロー」が重要です。利上げによって返済額が増えると、収益が圧迫される可能性があります。
特に、金利の上昇は変動金利で借入をしているオーナー様にとって直接的な影響を及ぼし、利益率の低い物件ではキャッシュフローがマイナスになるリスクもあります。
また、修繕費や管理費などの固定費がかさむと、収益の圧縮がさらに進み、長期的な運営の見直しが必要になるケースも考えられます。
● 家賃設定の見直しが必要になる可能性
借主に負担をかけすぎない範囲で家賃を調整することも検討すべきです。
ただし、家賃の引き上げは、周辺の市場相場や入居者の支払い能力、地域の需要動向を十分に考慮する必要があります。
賃料の値上げが可能な場合でも、段階的な調整や付加価値(リフォーム、設備の充実、サービスの提供など)を加えることで、入居者の満足度を維持しながら収益性を向上させることが重要です。
また、競争力を損なわない範囲での値上げが求められるため、データに基づいた市場分析や他物件との比較も欠かせません。
2. 管理会社としてできるサポート
● 収益最大化のための賃貸経営アドバイス
【空室対策の強化 】
まずは入居者分析と競合分析を徹底的に行い、ターゲット層を明確することが重要です。
入居希望者の年齢層、職業、ライフスタイル、家賃の許容範囲などを把握し、物件の強みを最大限に活かせる戦略を立てます。
また、競合物件の設備や家賃設定を分析することで、物件の優位性を見極め、適切なマーケティング施策を実施することが出来ます。
【 リフォーム・リノベーション提案】
築年数が経過した物件では、リノベーションを行い付加価値をつけることで、適正な賃料設定が可能になります。
例えば、水回り(キッチン・バス・トイレ)の最新設備への変更、壁紙や床材の張り替え、照明のLED化など、比較的コストを抑えながらも入居者の満足度を向上させる改修が効果的です。
また、間取り変更や収納スペースの増設といった大規模なリノベーションを行うことで、ターゲット層を広げ、賃料の引き上げも期待できます。
※あくまでも、リフォームは手段です。目的ではございません。
3. まとめ
今回の日銀の利上げによって、賃貸経営の環境は変化しつつあります。しかし、適切な対策を講じることで、金利上昇の影響を最小限に抑え、安定した経営を続けることが可能です。
現在、あなたの物件は利上げの影響を適切に対策できていますか?
金利上昇によるキャッシュフローの変化や、競争力を維持するための施策について、一度見直してみることをおすすめします。

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