新しい賃貸の形「DIY型賃貸借」とは?
あなたは、DIYって知ってますか?
最近、TVとかでも話題になっていますので、ご存知の方も多いと思います。
「Do It Yourself」(自分自身でやる)の頭文字を取ったものです。
簡単にいうと、「日曜大工」ですが、これが今賃貸の新しい形として注目されています。
あなたが、賃貸を借りてこんなことはなかったですか?
・「ここに棚がついていたら便利なのに、壁に釘を打ったら駄目だよな?」
・「この壁をあの雑誌で見た可愛いクロスに変えたいけど・・・」
・「場所と家賃は希望通りなのに、間取りが使いづらいな。」
価値観の多様化によって、市場に供給されている賃貸では満足していないユーザーが増えてきているのが、ひとつの理由でしょう。また、年々増加する空き家問題も解消できる可能性があるということで、国をあげてこのDIYを活用しようという動きが出てきているんです。
DIY型賃貸借のメリットは?
貸主のメリット
○現状のままの状態で貸すことが可能になる。
○借主が自費でDIY等を行うことから、長期間住んでくれる可能性がある。
○退去時には、貸し出し時よりも設備等の価値が上がっている可能性がある。
借主のメリット
○持ち家のように自分の好みにできる。
○自費でDIYするから賃料を安くできる。
○退去時に原状回復費用を取られない。
それぞれのメリットを見ると、お互いWIN-WINの関係にありそうですよね。
テナント(事業用)賃貸では、ごくごく一般的な『居抜き物件』に近いイメージです。内装費用を全て借主さんが負担して、店舗を作って営業する代わりに退去する時はそのまま退去してよい。というのはよく行われています。
これを住居に発展したものが、DIY型賃貸借です。
ただし、DIY型賃貸借で注意しなければならない点がひとつあります。
DIY型賃貸借の注意点は?
それは、「住居内の法的制限をどう守ってもらうか?」ということです。壁クロスの張替え程度なら特に問題ないのですが、間仕切りを新たに作って部屋や書斎を作りたいなんて場合は、新たに火災報知機を設置する義務が生じます。一般の方に、そこまでの予備知識があるかと言えば、難しいですよね?
テナントの場合は、借主さん自体が事業者であり、消防署や保健所に事前に確認を受けて営業許可をもらわなくてはいけませんので、当然法的な部分はクリアすることができます。
でも、DIYはそうはいきません。あくまで日曜大工なのですから・・・
このように、安易にDIY型賃貸借で進めると一定のリスクが生じる恐れがありそうです。でも、ここに我々仲介不動産会社・管理会社の存在価値がありませんか?
不動産取引・賃貸管理のプロとして、入口の部分で貸主・借主の目に見えない部分や見ても気づかない部分をきちんと説明して理解してもらえれば、お互いのメリットを最大限に享受してもらえるのではないでしょうか?
幸い、国土交通省が、DIY型賃貸借を進めるべく「DIY型賃貸借の契約書式例」を作成しています。
1.標準型賃貸借契約書
2.増改築等の承諾についてのお願い
3.合意書
の3つの書式で構成されています。前提としては、借主負担により壁紙の張替えや造作棚などの設置など小規模な改修を行う場合を想定して作成されています。
所有権はどちらにあるのか?
明渡しの際の撤去は?
原状回復義務は?
明渡し時の精算などは?
以上に挙げた4点がポイントになります。日曜大工ですから、入居前の一回限りではなく借主さんが住みながら「もっとこうしたい。ああしたい。」と思うところをどう家主さんと協議して、お互いメリットがあるように進めるかが重要です。上に挙げた4つのポイントを押さえ、双方が「こうなるはずじゃなかったのに・・・」とならないように取り纏める、まさしくこれは、管理会社にしかできない仕事です。
空室率20%が間近に迫る鹿児島。このDIY型賃貸借は入居者さんの満足度を上げる有効なテナント・リテンション(入居者の保持)になるのではないでしょうか?
関連した記事を読む
- 2023/06/05
- 2023/03/17
- 2021/01/28
- 2020/07/13