クレームを出さない為の仕組み作り
後ろ向きな仕事のようですが、取り組み次第では管理の質と供に入居者さんの満足度も向上ができます。
排水不良クレームの原因は?
ある日、管理物件の入居者さんから事務所に電話があり、洗濯機の排水が溢れてくるとのクレームが・・
入居者さんはどうしていいのか分からず、不安でいっぱいです。
電話でお詫びをしたあと、協力業者さんに連絡をして、排水管洗浄を行う段取りをしました。
排水管洗浄の業者さんと入居者さん宅へ訪問し、まずはお詫びをして、そして管内の様子をカメラで確認します。
管内の状況をカメラで確認すると、今回の詰まりの原因がわかりました。
犯人は、金タワシ。
本人は全く記憶にないとのことだったので、おそらく過去の入居者さんが台所の排水口から落としてしまったのでしょう。
排水管の途中でひっかかった金タワシが、徐々に毛髪や油脂を塞き止めていって詰まってしまったのでした。
リフォーム時に排水状況のチェックは行いますが、洗濯排水のように一気に大量の水を流すことまではしていません。生活排水である雑排水管は、油脂や毛髪等で、年々詰まりやすくなっていきます。
排水管は見えない部分だけに、築年数が経過するといつこうやって詰まってしまうかは分かりません。時限爆弾のようなものですね。
今回は、入居者さんが気づいてくれて幸いにして下の階まで被害が及ばなかったものの、もし下の階まで水が漏れてしまったら・・考えるだけでぞっとします。
オーナーへ原因と今後の対策を提案
この物件は築30年を超えています。
今回の経緯をオーナーへ報告し、排水管の洗浄作業の必要性を提案させてもらいました。
オーナーもリスクを理解してくださり提案に賛同。今後の仕組みとしては、原状回復項目に排水管洗浄を組み込むことに。全戸一斉の実施が理想なのですが、入居者さんの立会いが原則なので、単身者は不在が多く、現実的には難しいだろうという判断です。
雑排水管洗浄は、消防設備点検、水質検査などの法律で定められた作業ではありません。当然経費も掛るので、賃貸マンションでは発生後の事後対応になりがちです。
管理会社の財産とは?
起きてしまったクレームはなしにすることはできませんし、入居者さんが不愉快な想いをした事実は真摯に受け止めなければいけません。
大切なのは、起きたクレームを解決した後、今後そのクレームを無くす、もしくは減らすにはどうすれば良いか?仕組み化することはできないか?を検討することです。
「管理会社の財産はトラックレコード(管理履歴)」
と言われます。
トラックレコードとは、物件収支・入居率・稼働率・設備の取替(修繕)等の運営実績についての毎月の履歴のことをいいます。
この履歴があることで、管理会社としての経験値がストックされ、将来の設備修繕の予測などを行うことが可能になり、オーナーが賃貸経営をう行う上でのリスク対策が可能になります。
その場限りの対応で終らせることなく、トラックレコードを積み上げ、オーナーの理解を獲得しながら、クレームのない管理を目指していきたいですね。そうすれば、入居者さんの満足度があがり、長期入居というオーナーの経営の安定化に繋がるのではと思っています。
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