家賃の下落率ってどのくらい?
家賃が下がるのは管理担当者のせい?
賃貸管理会社の『あるある』の話ですが、物件の管理担当者が替わるとよくオーナーさんから、
「前の担当者からあなたに替わったら、家賃が下がった・入居率が下がった。」
と言われることが残念ながらよくあります。
新しい管理担当者が怠けているのでしょうか?
オーナーさんのただの思い込みでしょうか?
いずれも、違います。その理由は?
オーナーさんがそう感じてしまうのには理由があるんです。三井住友トラスト基礎研究所が発表したレポートにその答えはあります。
『経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由』
下のグラフを見てみてください。
これは、賃貸マンションの経年劣化が賃料の下落にどう影響するかを表したグラフです。
このデータは、地方都市などではなく人口が増え続けている東京都23区の賃料下落率です。
見てのとおり、見事なまでに右肩下がりですね。
築0年(新築時)を100とした時のそれぞれの賃料指数を表したグラフです。
青:シングル(18㎡以上30㎡未満) 赤:コンパクト(30㎡以上60㎡未満)
家賃の下落率は何%?
実際の数値を見てみましょう。シングルで見てみると、
新築時100⇒築2年103 3%アップ(これを新築プレミアムと言います)
新築時100⇒築10年89 11%ダウン
新築時100⇒築20年83 17%ダウン
ざっとですが、10年で1割の下落、20年で2割の下落です。
レポートを要約すると、
①賃料の下落率は年率に換算すると約1%
②賃料の下落は3つの段階に分けられる。(シングルタイプ)
1.第一段階 築3~10年 年下落率 約1.7%
2.第二段階 築11~20年 年下落率 約0.6%
3.第三段階 築21年以降 年下落率 ほぼ横ばい
新築後の10年間が、最も下落率が高く、築20年を超えると安定する。
③利便性が高いエリアで新規供給が少ないエリアは、下落圧力は軽減される。
駅からの距離等によって、下落圧力が異なっている可能性が高い。
詳しくはこちら
http://www.smtri.jp/report_column/report/2013_01_16.html
このデータから推測すると、地方の人口減少が続く鹿児島なんて、下落率はもっと大きいでしょう。
なので、オーナーさんが、「家賃が下がった。入居率が下がった。」と言うのは正しいんです。
だって、前の担当者がいたときより物件が古くなったのですから。ただ、下がった理由が違うだけなんです。
残念ながら、家賃は下がって当たり前なんです!しかも、最初の10年が最も下落率は高く、21年以降はそんなに変わらない。
ほんと、新車・中古車の値段とよく似ていますよね。
この大前提をオーナーさんも賃貸管理会社が、共通認識としてもっていないので、最初にお伝えした『あるある』が起きてしまうのです。
賃貸管理会社(プロパティマネジメント会社)の使命
レポートにもありますが、この大前提を踏まえると、賃貸管理会社(プロパティマネジメント会社)の重要な任務は、
〇賃料下落を最小化すること
〇下落圧力から逃れる為に、既存入居者が長期入居できる対策を講じること
この2点に尽きる言えると思います。
この事実をオーナーさん・賃貸管理会社が正面から受け止めることができれば、オーナーさんの物件を気に入ってくれている長期入居者さんへしてあげられることは、もっともっと色々ありそうです。
空いた部屋を決まるように募集活動を一生懸命行うのももちろん大切ですが、入居しているお客様にいかに長く住んでいただけるか?
管理会社の管理メニューを再検討する時代が来ていると思います。