新築賃貸マンションの供給ラッシュ
満室に安堵するオーナーさん
20日は、管理物件の送金日。
先月に無事満室となった管理物件のオーナーさんに送金明細書を持って訪問しました。
1年以上も常に空室がある状態だったので、久々の満室がよほど嬉しかったのでしょう。
全室に家賃が入っている明細書を見てオーナーさんも感慨深そうです。
「満室になってよかったぁ。田中さん、ほんとありがとね。」
この仕事をしていて一番嬉しい瞬間です。
オーナーさんの自宅の窓から3月に完成した新築賃貸マンションが見えます。
まだ、『入居者募集中!』の垂れ幕が・・
鹿児島市は新築賃貸マンションの供給ラッシュ。
「新築マンションですら埋まらないのに、こんなに早く満室になるなんて思ってなかったから・・」
「ほんと、良かったですね(笑)」
とオーナーさんと話しながら、先日、とある仲介会社さんを訪問した時のことを思い出しました。
「この新築、まだ3戸しか決まっていないんですよ(汗)」
と、仲介営業マンの話。2月に完成したのに12戸中の3戸の成約なのだそう。
資料を見せてもらうと、家賃も明らかに相場より高い設定になっています。
「市場調査はしなかったのかな?」
と不思議になってしまいました。
賃貸ではほとんど行われていない査定根拠の報告
新築賃貸マンションは設計段階で、不動産会社へオーナーが賃料査定を依頼するのが一般的。
複数の不動産会社へ依頼して、一番高く査定してくれたところに募集をお願いするケースが多いです。
不動産の売却時もそうですよね?
不動産会社のルールブックである宅建業法には、こんな条文があります。
『宅建業者が依頼者に売買価格や評価額について意見を述べる時は根拠を明らかにしなければならない』
※宅建業法34条の2第1項2号,2項
大事な大事な「書面で」という言葉が抜けているのにお気づきでしょうか?
説明義務はあるのですが、口頭でもOKなのです。
賃貸の場合、この査定根拠を示す報告書が作られることはほとんどありません。
なので、オーナーは各社から出た査定書(=想定募集賃料)だけを見て比較するのです。
なぜこの査定なのか?という物差しがないので、査定書を比較するオーナーは、
「この会社はやる気があるな。この会社の値段だと、収支が合わないじゃないか?」
という判断しかできないのも仕方がありません。
査定に大切なのは金額ではなく、その根拠の量と質です。
査定はあくまでも「机上の空論」です。市場に出してみないことには誰にも分かりません。
現在の賃貸市場は、インターネット上で多くのお客さんに比較されます。
まずはそのたくさんの競争に勝たなくてはいけません。
なので、「査定根拠を示す報告書」が必要なのです。
〇どういうお客さんが借りてくれると想定しているのか?
〇どうしてこの家賃設定になったのか?
〇どこと比べて勝っているのか?劣っているのか?
〇この物件の付加価値は何か?
こんなことが報告書に書いてあったら、安心じゃありませんか?
よほど、他にはないその物件特有の付加価値がない限りは、家賃は相場で決まります。
新築は、「まだ誰も住んでいない」というのが新築特有の付加価値となります。
これを「新築プレミアム」と言います。
スーモで鹿児島市内の新築賃貸の募集件数を調べてみると、今日現在でもなんと1808件!
もう4月を迎えようとしているのに、まだまだ新築賃貸の空室がたくさん残っています。
既に、新築だからプレミアムがつくという付加価値はないのかもしれませんね。
これは、新築ばかりではなく、既築の賃貸マンションにも同様のことが言えます。
あなたは、今募集している空室の家賃がなぜその家賃なのか説明ができますか?
前入居者と同じ家賃のままになっていませんか?
市場は生き物です。
その時々の供給と需要のバランス・競合物件の状況などによって日々変化します。
繁忙期が終わろうとしている今、まだ空室があるならあなたの知らない間に、市場からずれた商品になっているのかもしれません。
一度、査定根拠を示す説明を受けてみることをお勧めします。
もちろん、空室対策に賃料査定根拠は欠かせません。
より詳しく知りたいなら、このセミナーがお勧めです。