仲介会社さんからの相談事
とある仲介会社さんからの相談
「田中さん、ちょっと相談したいことがあるんですけどいいですか?」
管理物件のPRの為、とある仲介会社さんを訪問した時の話。
ある女性の営業の方からこんな相談がありました。
その会社さんの管理物件で困ったことがあったそう・・
どう対応したら良いか分からず、僕に相談をしてくれたのです。
彼女は、以前から僕のブログを読んでくれていて、
「いいホームページですよね」
と褒めてくださっていた方。
賃貸管理は、日々色々なトラブルが起こります。
大家さんと入居者さんの板挟みになってしまうと夢に出てくることもあったりします。
他社さんのこととはいえ、当社の管理物件へのお客様の紹介も積極的にしてくれる大切な取引先でもあります。
それに、トラブルを一人で抱える辛さはよーく分かりますので、何か力になれるのであればと思いました。
「実は、うちの管理物件の入居者さんの保証人さんが亡くなられたんですよ。」
「そうなんですか?そしたら、保証人さんを変更してもらわないといけないですね。」
「それが、身内の方が他にはいらっしゃらないらしくて・・・」
「どうすればいいか分からなくて、困ってるんです。」
「そうなんですね。それじゃあ、現状は契約違反にあたる訳ですね。」
「その方は、賃貸保証契約は締結している方ですか?」
「はい。」
「そしたら、まず保証会社さんに問い合わせて、保証人なしプランへの変更が可能かどうか確認したら良いですよ。」
賃貸保証会社さんの保証プランには、「保証人なし」というプランがあります。
入居者さんが支払う保証料は高くなってしまいますが、連帯保証人を立てられない方の為にそういうプランがあります。
入居実績=家賃の支払い実績があって、入居者さん本人の属性(勤務先や年収)がしっかりしていれば、契約変更が可能な場合があるんです。
大家さんに経営判断の材料を提供することが大切
一方、大家さんからすると
保証人さんがいない=リスクへの担保がなくなるということを意味します。
そうなると「契約を継続して良いものなのか?」
と不安になってしまうので、まずはそのリスクの回避を確保しなくてはなりません。
「保証会社さんへの確認が取れたら、次に入居者さんに賃貸保証契約のやり直しとそれにかかる費用を説明して、その条件での契約継続の意思があるかどうか確認しましょう。」
1.保証人なしプランが可能かどうか
2.入居者さんが保証人なしプランの契約締結・費用負担を承諾するか
「この2点がクリアできたら大家さんに事情と保証人なしプランの詳細を説明してあげて、経営判断してもらった良いのではないでしょうか?」
大家さんの経営判断は、
A 解約して再募集する。
B 保証人なしプランの保証契約を前提として、契約を継続する。
ということになります。
大家さんは、賃貸事業を行なっているものの、ほとんどの方が賃貸に関しては素人です。
でも、経営判断はしなくてはなりません。
その上で、判断材料が乏しかったら余計に経営判断は難しくなってしまいます。
また、一般の企業が経営方針を持っているように、それぞれの大家さんも様々な目的で賃貸物件を保有しています。
なので、その目的によって経営判断は異なってくるのです。
管理会社が、経営上のリスク回避の方法、そしてその選択肢のメリット・デメリット、短期的・長期的視点なども合わせて報告することで大家さんは経営方針に従って、判断をすることができます。
今回のケースでは、再募集した場合の費用や成約できるであろう家賃も提案できたら尚良いと思います。
管理会社の大切な仕事は、大家さんが経営判断をする上での材料を提供することだと思います。
その材料が多ければ多いほど、大家さんは自分にあった選択肢を選ぶことができるのです。
相談してくれた彼女も
「その順番で話を進められたら、大家さんも安心ですね。」と笑顔になってくれました。
建てたら満室という時代は終わり、賃貸経営も競合物件との競争の時代になりました。
競争の中で収益を確保して行くためには、経営判断がとても大切になります。
これから大家さんがこの競争を勝っていくためには、
管理会社が「大家さんの右腕になる」ことも管理会社の重要な任務ではないでしょうか?