これからの管理会社に必要なこと
1件違反でもポータル掲載禁止に
1月から、表示規約に違反し、厳重戒告および違約金課徴の措置を講じた不動産会社に対し、5社の主要ポータルサイトが広告掲載を1カ月以上禁止する施策が始まった。
主要ポータルサイトへの広告掲載停止は1カ月以上で、期間は各社の判断に委ねられている。
1月は6社が掲載停止を受けた。
(記事より抜粋)
詳細はこちら http://www.zenchin.com/news/2017/02/1-23.php
この繁忙期に1月だけで6社も掲載停止なんて・・・
今や賃貸仲介会社にとって、ポータルサイトへのネット広告は集客の生命線です。
1件の違反でポータルサイトへの広告掲載が1ヶ月以上も停止されてしまったら、
その店舗への売上の影響は計り知れません。
この掲載停止措置は、今は首都圏だけのようですが全国に広がるようです。
不動産仲介業は「モノ」ではなくて「情報」が商品です。
その「情報」を発信すること自体ができなくなったら、
お客様もその店舗の存在自体を知りえなくなってしまいます。
賃貸仲介の現場では、スタッフが毎日物件の写真を撮りに行き、
専用の基幹ソフトへ膨大な量の物件情報を登録して、ポータルサイトへの入稿作業を行っています。
できるだけ綺麗な写真で、ユーザーにより魅力的に見えるように毎日頑張っているのです。
そもそも、
賃貸物件の「おとり広告」には3種類あります。
1.実在しない架空の物件の掲載(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
2.実在するが実際には取引きする意思がなく、家賃(販売価格)を相場よりも
著しく安く表示している物件の掲載
3.実在するがすでに成約済みの物件の掲載
1・2はユーザーを欺くものなので、取り締まりはぜひ強化して欲しいですが、
問題は3の「実在するがすでに成約済み」という物件です。
この「成約済み物件」ですが、実はそのほとんどが悪意があって掲載しているのではなく
仲介会社自体が知らない間に成約済みになってしまっているのです。
おとり広告は誰の問題?
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
賃貸仲介会社が掲載している物件の種類は大きく分けて3つあります。
①自社の管理物件
②大家さんから直接依頼を受けた物件
③他の管理会社から広告掲載を許可された物件
①②は、仲介会社自身がその情報を元々掌握しているので、
知らない内に成約済みになってしまうなんてことは少ないです。
実は、一番多いのは③の他の管理会社から広告掲載を許可された物件が
知らぬ間に「おとり広告化」してしまうことなんです。
管理会社の立場からすると、より多くのユーザーに管理物件のことを知ってもらう為には
より多くの仲介会社に物件情報を提供しなければなりません。
ですが、情報は提供されたままで、成約したことが管理会社から知らされることはありません。
仲介会社が知るのは、次の情報提供の時に、その物件が消えていた時となります。
このタイムラグの期間が長かったり、消えていたことを見逃してしまった結果「おとり広告」となってしまうのです。
今後もし「1件違反でもポータル掲載禁止」になってしまうようなことが鹿児島で現実化すれば、
他の管理会社の物件掲載は、仲介会社にとっては大きなリスクとなるでしょう。
賃貸仲介の現場のスタッフさんが、現場に走って写真を撮って、登録して、入稿して・・
という努力があだとなってしまうのですから。
そうなれば、他の管理会社の物件情報は掲載しないっていう選択肢が経営判断として起きてもおかしくありません。
それは、管理会社側にとっても大きなマイナスです。
実は、おとり広告の問題は、管理会社側の問題だと捉える必要があるのです。
新聞記事の締めくくりに、
『仲介事業の現場は入稿作業やメンテンスを怠ることなく、確実に行わなければいけない。』
と書かれています。
日々頑張っている仲介事業の現場に、メンテナンスを怠るな!というのは酷な話ではないでしょうか?
それよりも、情報発信する側の管理会社がおとり広告を自身の問題ととらえて、
仲介会社さんが安心して広告掲載できるように成約時の情報提供もしっかり行う仕組みを作ることのほうが大切だと思います。
それが、結果的にはサイトの信頼性に繋がって、ユーザー・仲介会社・管理会社が三方良しになるのではないでしょうか?