神の見えざる手
『神の見えざる手』ってあなたは覚えてますか?
多分、中学か高校の社会で習ったかもしれませんね・・・
夜にふと、ネットで色々調べ物をしていたら出てきたんです。
「おー!そう言えばそんなのあったなぁ」と思い出しました。
『神の見えざる手』とは?
僕らの時代ではナイキエアマックスというスニーカーが、十数万円もの値段をつけたりしました。
欲しい人と商品の数が合わなくなると、値段はどんどんあがっていきますよね?
ワールドカップ決勝の席の値段などもそうです。
逆もまた然りです。欲しい人が少なくて、商品が多いと値段はどんどん下がっていきます。
GUが980円でジーンズを出したのを覚えている方も多いでしょう。
市場経済というのは、価格の自動調節機能が働いて、需要と供給のバランスが取れたところの値段になる。
それは、目には見えないので、神様が手を施しているようだとの例えです。
僕が賃貸業界に入った13年前はインターネットでの賃貸募集などない時代でした。
今有名な賃貸ポータル「SUUMO」を運営するリクルート社さんも、当時は『タウンズ』という情報誌を発刊していました。賃貸の広告は紙媒体という時代です。
当然、紙だとページ数に限りがあります。不動産屋さんは数ある空室の中からお客さんが興味を持つであろう物件を選んで掲載していました。
100室ある空室の中からこれだ!という20室を厳選して掲載するって感じです。
なので、お客さんは残りの80室は不動産屋さんに行かないことにはわかりません。
不動産屋さんを4~5件はしごして、どこの不動産屋さんに行っても「早く決めないとなくなるよ!」
って営業される、それが主流だった時代です。
悪く言うと、神様に見つからないように情報を不動産屋さんが握ることができていた時代。
なかなか神様の手が降りてくるのにも時間がかかる時代でした。
今はどうでしょう?
ネット上に物件情報があふれています。何度か、ポータルサイトで検索すれば、素人さんでも「この物件高いな!」とか、「おっ!これはいいぞ!」とか、簡単に比較検討できるようになりました。
これは賃貸に限りませんよね?家電や旅行・レストラン・洋服などなど色々な商品やサービスがネットで比較できるようになっています。
「神の見えざる手」が天から降りてくる前に、ネットで見えてしまっています。
神様の仕事はめっきり減っちゃったようですね。
そして今、お客さんが訪問する不動産屋さんは1社か多くて2社。
ネット上で、充分に比較検討して、物件を絞ってから来店するようになってきたことの表れです。
ところで先日、オーナーさんのところに行って、募集家賃の打ち合わせに行ってきました。
近隣の競合物件の資料を作っていったのですが、
「えー。こんなにたくさんあるの。これなんか、新築なのにまだ空いてるの?」
「これは新しいのに、うちのと値段もそんなに変わらないじゃない?」
とびっくりしている様子。
オーナーさん自身は、家賃は安く出していたつもりだったようです。
「そうですよ。この中から選んでもらわないといけないんです。今は、インターネットでこうやって比較されているんですよ。」
結局、家賃を下げないようにリフォームをする方針となりました。
賃貸経営管理(プロパティマネジメント)の大切な仕事に空室対策があります。
どんな対策を講じるか検討する為には、市場調査(エリアマーケティング)が欠かせません。
今は、神様の手を待ってなんかいたら、いつまでたっても空室は埋まらないからです。
インターネットによって、空室は一瞬にして市場にさらされます。
どういう価格設定と戦略で市場に物件を出すか?
その判断と実行のスピードが遅ければ遅いほど、空室期間が比例して延びていく。
ほんと、判断とスピードがとても大切な時代になりました。