株式会社ツイン・ビー 賃貸事業部
10:00〜18:30
日・祝祭日
2016年08月17日
現場管理

入居者さんは生きている?(前編)

突然の電話

 

その日は、サークル活動をしているナイターソフトボールの試合の日。
いつもは残業で8時・9時が当たり前なのですが、試合を言い訳にそそくさと仕事を切り上げて、気の合う仲間とソフトボールを楽しんだあとのこと。9時過ぎたくらいだったでしょうか?

 

携帯電話が、「プルルルル・・・」
ディスプレイには後輩社員の名前が(いやな予感・・)「はい、田中です。」
後輩社員が、慌てた声で、

 

「おっ、お疲れ様です。Aマンションのオーナーさんから電話があって、天井から水が落ちてくるというので、今現場に来ているところなんですが・・」
Aマンションのオーナーさんの自宅は1階で、2-4階が1Kタイプのお部屋になっています。

 

「上の階の入居者さんは?」
「携帯に電話しても玄関のチャイムをならしても出ないんです。玄関ドアの下から廊下に水も流れ出てます!」

 

入居者の佐藤さん(仮)の情報を聞くと、20代後半の独身男性で、先月契約更新をしたばかり。勤めていた会社を退職しており、現在は無職とのこと。家賃も若干遅れ気味になっている様子。

 

それを聞いた瞬間、職業病なのでしょうか?過去の経験から、佐藤さんが浴槽につかったまま青白い顔で目を閉じている姿が、脳裏に飛び込んできました。Aマンションは、玄関のすぐ右手に浴室があるんです。

 

それを掻き消すように、僕は後輩に、

「親御さんには連絡した?管理キーは持ってきてる?」
「まだです。鍵は持ってきてます。」

 

「これからそっちに向かうから、親御さんに連絡つけて安否確認の為の入室許可と、警察へも電話して立会のお願いをしておいて。」
「わっ、わかりました。」

 

佐藤さんは自宅にいる?

 

僕がマンションに着くと、そこには後輩社員とオーナーさん、ちょうど警察も到着したところでした。
オーナーさんは、70代の女性。学生街のマンションなので、入居している学生さんからすると、おばあちゃん代わりのような存在。いつも穏やかな笑顔で、おしゃべりが大好きな方です。でも、さすがに今は終始不安げな表情。

 

僕が「お疲れ様です。遅くなってすみません。」
というと、3人は一度軽く僕を見たあと、3人そろって驚いた顔で僕を二度見。

 

というのも、試合会場からそのまま駆けつけた僕は、ユニホーム姿のままでした。
「すみません・・・。試合があったものですから(汗)。」
緊張の現場が、僕の場違いな格好で変な空気に包まれつつ、

 

「田中さん。今、ちょうど親御さんの連絡と安否確認の承諾が取れました。これから鍵を開けるところです。」
後輩社員の携帯電話は、熊本県在住の親御さんと繋がったままでした。
息子のことが心配で、電話を切って待つことができなかったようです。

 

佐藤さん宅の玄関ドアの下からは、まだ水が流れ出続けています。
僕は、念のためもう一度チャイムを鳴らし、室内の佐藤さんに呼びかけをして返事がないことを確認。

 

そして後輩から管理キーを受け取り、警察の方と目を合わせると、鍵穴に鍵を差込みました。
「ガチャッ」
鍵が開いた音がしました。さっき脳裏に浮かんだ佐藤さんの画像がフラッシュバックしましたが、覚悟を決めてゆっくりドアノブを廻すと・・・・

 

「ガチャ、ガチャ」とドアは1cmほど開いたところで何かに引っかかって開きません。
「あれっ!内鍵が掛かってる。」
室内の明かりが、その隙間からもれています。

 

室内の電気がついていて、内鍵が掛かっている・・。100%佐藤さんは室内にいます。
僕は、その1cmの隙間に口を近づけ、「佐藤さーん!佐藤さーん!」と何度も大声で呼びかけるも、全く返事はありませんでした。

 

いよいよ僕は、覚悟をきめたのでした。

 

次回へ続く・・・
『入居者の安否はいかに?(後編)』

この記事を書いた人
田中 祐介 タナカ ユウスケ
田中 祐介
空室率が年々上昇する鹿児島市の賃貸不動産事業では、事業者(オーナー)の「経営力」の差が空室率に直結する時代が訪れました。長年に渡って培った賃貸経営管理(プロパティマネジメント)の知識と経験で全力でオーナーの経営のサポートをいたします。
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